I型SMAをもっと
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SMAとは

SMAは常染色体劣性遺伝性の希少疾患で、脊髄前角細胞の欠失・変化によって筋緊張低下、筋力低下や筋肉がやせ細ったり(筋萎縮)していく疾患です。
運動神経細胞の欠失・変化を止めることが患者さんの予後に大きく影響してきます。
SMAを疑う症状がある場合は、早期に遺伝学的検査で確定診断を行い、早期治療が重要です。

  • ※ SMA以外にも筋緊張低下、筋力低下や筋萎縮がみられる疾患がありますので、他疾患と見分けるためにも、遺伝学的検査が有用です。

SMAでない方とSMA患者さんの運動神経細胞と筋肉
SMAでない方とSMA患者さんの運動神経細胞と筋肉
SMAの確定診断

症状および一般臨床検査(血清クレアチンキナーゼの測定など)から、SMAが疑われる場合は確定診断を実施します。確定診断につながる検査として、①画像検査(筋CT)、②針筋電図検査、運動神経伝導速度検査、③筋生検、④遺伝学的検査があります。
しかし、針筋電図検査、運動神経伝導速度検査、筋生検といった侵襲を伴う検査は容易ではありません。
SMAの責任遺伝子が明らかとなった現在、症状、経過および家族歴などからSMAが疑われる場合には、遺伝学的検査を優先して行い、SMAの診断が行われます。

SMA確定診断のフローチャート
SMA確定診断のフローチャート
Mercuri E. et al.: Neuromuscul Disord. 28(2), 103, 2018より改変
SMAの見分け方

筋緊張低下、筋力低下や筋肉がやせ細る(筋萎縮)といったSMAの症状は、タイプによって大きく異なります。
ここでは、重症度の高いⅠ型SMAの身体的特徴を紹介し、SMAと似た症状のある疾患を解説します。

Ⅰ型SMAの身体的特徴

乳幼児期に発症するⅠ型は、成人してから発症するタイプに比べて症状の進行が早く、重症となるため 、早めの治療が必要です。

  • ミルクの飲みが悪い、同じ時期に生まれた子と比べて成長が遅い、泣き声が弱い、おとなしい、唾液を飲み込めない
  • フロッピーインファント が観察される
  • マシュマロ様の筋のやわらかさ
  • 咳が目立ち、呼吸が苦しそう
  • 胎動が少なかった
  • 舌に細かいふるえがみられる(舌の線維束性収縮)
  • 息を吸うときに胸がくぼみ、息を吐くときにお腹がへこむ(シーソー呼吸)
※ フロッピーインファント(floppy infant)とは

筋緊張低下のため、からだがやわらかく、ぐにゃぐにゃしているように感じる状態の乳児

再生マークがついている症状は、イラストをクリックすると動きをご確認いただけます。

蛙足肢位
引き起こし反応
逆U字型姿勢
弛緩肩
スカーフ徴候
踵耳徴候
二つ折れ現象
シーソー呼吸
舌に細かいふるえ
齋藤加代子. 神経筋疾患. In:内山聖ほか. 標準小児科学. 医学書院;2013. p.671-689.より改変
SMA以外に筋緊張低下、筋力低下や
筋肉がやせ細る(筋萎縮)といった症状があらわれる病気
乳幼児期
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神経原性 脊髄疾患 SMA
末梢神経疾患 Charcot-Marie-Tooth病
筋原性 筋疾患 糖原病Ⅱ型(ポンペ病)
先天性ミオパチー
先天性筋ジストロフィー
先天性筋強直性ジストロフィー
日本小児神経学会編. 鑑別診断. In: 小児神経専門医テキスト. 診断と治療社. p.66-82, 2017.より改変
新生児期
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疾患 先天性ミオパチー 筋ジストロフィー※1 筋型糖原病Ⅱ型
(ポンペ病)
先天性筋ジストロフィー
(遺伝形式:常染色体優性・劣性)1)
先天性筋強直性ジストロフィー
(遺伝形式:常染色体優性)1)
頻度

国内:正確な頻度不明
推定患者数は約1,000 〜 3,000人2)

海外: 罹病率
3.5 〜 5.0人/10万人2)

国内:有病率
0.4 〜 0.8人/10万人6)

国内:有病率
1〜5人/1万人
[先天性(生下時から発症)を含む全ての型の筋強直性ジストロフィー]9)

国内:有病率
1人/10 〜 20万人 10)

発生頻度に民族差あり10)

原因

病因は骨格筋タンパクの欠損や機能異常3)

責任遺伝子が解明されてきている3)

骨格筋の機能維持に必要なタンパクの機能異常によって、筋骨格細胞の変性・壊死が引き起こされる1)

近年、責任遺伝子が次々に明らかにされている1)

代謝酵素の欠損による、心筋へのグリコーゲン蓄積11)

近年、酵素補充療法が可能になった11)

臨床
症状等

主に乳児期に気付かれる運動発達の全体的な遅れ4)

筋力・筋緊張低下3)

顔面筋罹患(高口蓋)3)

頸屈筋の選択的罹患3)

易感染性(呼吸不全)3)

血清CK値:正常 〜 軽度上昇3) 5)

進行性の筋力低下1)

福山型筋ジストロフィーでは顔面筋罹患が特徴的7)

血清 CK値:上昇10)

近位筋優位の筋力低下10)

近位筋優位1)

発症年齢1歳未満1)

血清CK値:上昇8)

筋強直現象1)

咀嚼嚥下筋・胸鎖乳突筋・四肢遠位筋優位1)

母親でミオトニア※2がみられる場合がある7)

血清CK値:正常 〜 軽度上昇

乳児型

哺乳力低下10)

心肥大10)

巨舌10)

肝腫大10)

遅発型

骨格筋障害10)

起床時の頭痛10)

鼻咽腔閉鎖不全10)

※1 遺伝性。遺伝形式と臨床的特徴に基づく古典的分類での7病型のうち2病型を示した。1)

※2 Grip Myotonia(ギュッと握った後の手がなかなか開かない)やPercussion Myotonia(舌をハンマーでたたくと舌が収縮し続けてすぐに戻らない)がみられる場合がある

1)松村剛.: 小児科. 62(6), 724, 2018.

2)難病情報センター(先天性ミオパチー).(http://www.nanbyou.or.jp/entry/4726)(2019年8月アクセス)

3)石山昭彦.: 小児科臨床. 66(増刊), 1403, 2013.

4)須藤章.: 小児科診療. 80(3), 295, 2017.

5)鈴木理恵ほか.: 小児内科. 48(12), 1961, 2016.

6)難病情報センター(筋ジストロフィー).(http://www.nanbyou.or.jp/entry/4522)(2019年8月アクセス)

7)井田博幸.: 小児科診療. 70(増刊), 215, 2007.

8)木村重美.: 小児科診療. 77(増刊), 828, 2014.

9)齋藤加代子. 神経筋疾患. In: 内山聖監修ほか編. 標準小児科学. 医学書院. p.671-689, 2013.

10)小児慢性特定疾病情報センター(ポンペ病).(https://www.shouman.jp/disease/details/08_06_097/)(2019年8月アクセス)

11)山口清次.: 先天代謝異常. In: 内山聖監修ほか編. 標準小児科学. 医学書院. p.167-195, 2013.

乳幼児期に筋緊張低下を示す疾患の中におけるSMAの見分け方
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筋緊張低下

筋力低下なし

筋力低下あり

中枢神経障害

脳性麻痺(失調型)

脳外傷

急性脳症

大脳白質変性症

その他

Down症候群

Prader-Willi症候群

Ehlers-Danlos症候群

神経原性

SMA

Charcot-Marie-Tooth病

筋原性

福山型筋ジストロフィー

先天性ミオパチー

糖原病Ⅱ型(ポンペ病)

ミトコンドリア病

先天性筋強直性ジストロフィー

※ 時期によって筋緊張の低下も亢進も認められる。
齋藤加代子. 筋緊張異常・低下. In: 新島真一ほか編. こどもの神経疾患の診かた. 医学書院. p.46-52,2016.より改変