SMA(脊髄性筋萎縮症)について

SMA(脊髄性筋萎縮症)とは

脊髄性筋萎縮症(SMA)は、筋肉を動かす指令を出す運動神経細胞が変化したり、消失していくことでさまざまな症状があらわれる病気です。
SMAを有する患者さんの割合は10万人に1人といわれています。

  • ※ 伊藤万由里ほか: 東女医大誌. 83, E52, 2013.

SMAの原因

SMAを持つ患者さんのほとんどは、SMN1遺伝子を持っていないか変化しているために起こります。SMN1遺伝子は運動神経の生存や機能維持に必要なSMNタンパク質をつくっています。
SMN遺伝子(運動神経生存遺伝子)にはSMN1遺伝子とSMN2遺伝子があり、通常はSMN1遺伝子がメイン遺伝子として十分な量のSMNタンパク質をつくりますが、SMN1遺伝子に何らかの問題があった場合、SMNタンパク質がつくられなくなります。SMN2遺伝子にもSMNタンパク質をつくる機能がありますが、正常にはたらくSMNタンパク質を少ししかつくることができず、運動神経を維持するのに十分な量ではありません。


SMNタンパク質が不足すると、運動神経のはたらきを維持できなくなり、筋緊張低下、筋力低下や筋肉がやせ細る(筋萎縮)といった筋肉の変化があらわれます。
具体的には、生後3ヶ月〜6ヶ月のお子様の(乳児)の首のすわりが遅かったり、からだがやわらかく、ぐにゃぐにゃしているように感じる状態です。同じ時期に生まれた子と比べて成長が遅い、泣き声が弱い、おとなしい、唾液を飲み込めない等の症状があらわれます。



重症例では支えなしに座ることができず、哺乳困難、嚥下困難、誤嚥、呼吸不全をともないます。
その結果、90%以上が生後20ヵ月までに亡くなってしまうか、もしくは人工呼吸器による呼吸管理が必要な状態になります。

  • ※ Finkel RS. et al.: Neurology. 83(9), 810, 2014.
SMAでない方とSMA患者さんのSMN遺伝子と運動神経細胞(イメージ図)
SMAでない方とSMA患者さんのSMN遺伝子と運動神経細胞(イメージ図)

SMAは遺伝子の疾患です。
父親と母親が欠失または変化したSMN1遺伝子を持っている場合、そのお子さんは1/4(25%)の確率でSMAを発症します。父親または母親から受け継いだSMN1遺伝子のうちどちらか1つだけ欠失または変化している場合、SMAは発症せず、欠失または変化したSMN1遺伝子を有する「保因者」となります。保因者は一生涯SMAを発症することはありません。

欠失または変化したSMN1遺伝子を両親から1つずつ受け継いだ子どもにSMAが発症
欠失または変化したSMN1遺伝子を両親から1つずつ受け継いだ子どもにSMAが発症

このページをシェアする